皆さん、福井県鯖江市にある「漆の里・河和田」という地域をご存じでしょうか。
あまり馴染みがない方も多いかもしれませんが、この町は漆器で有名なだけでなく、継体天皇ゆかりの伝説や名水「桃源清水」など、自然と歴史がぎゅっと詰まった場所です。
夏には「河和田アートキャンプ」という学生団体の活動の場になっており、全国から学生たちが集まって地元の方々と活動するのも特徴的ですね。実は私も学生時代にこの活動に参加しており、今回は20周年のイベントで久しぶりに河和田を訪れることになりました。
イベントの話はさておき──せっかくなので今回は、久しぶりの河和田巡りを気ままに綴ってみようと思います。
漆の里で出会った桑の葉スイーツ

旅行といえば、やっぱり思い浮かぶのは美味しいご飯やスイーツですよね。
今回立ち寄ったのは、河和田町にある「漆の里会館」の中にある喫茶店、
その名も『喫茶 椀椀』。
ここでいただいたのが「桑の葉シフォンケーキ」です。
学生時代に来ていた頃は「桑の葉ロールケーキ」だったのですが、どうやら生産が終わってしまったらしく、今はふわふわのシフォンケーキになっていました。
悲しい…
さらにこちらでは「桑茶」も販売されていて、暑い夏に冷やして飲むと本当に格別。桑の葉スイーツと合わせて楽しむのが、私の中では“夏の河和田の定番”なんです。
そして忘れてはいけないのが、このお店の雰囲気。
漆の里会館の中にあるだけあって、器やテーブルがすべて漆!
漆のテーブルに並べられた漆の器でいただくスイーツは、味だけでなく目でも楽しめる贅沢なひとときでした。
他にも河和田名物の山うにを食べることもできるので河和田にお越しの際はこちらで一休みしてみてはいかがでしょうか!
山のうに?
山うには、河和田地区で300年以上前から親しまれている薬味だよ!
名前にうにって入ってるけど海のものは使ってなくてすりつぶした黄ゆず、赤なんばにたかの爪と塩をすり鉢で混ぜて練り上げてペースト状にしたもので鮮やかな朱色がうにっぽいからこの名前がつけられたんだってさ!
筆者も最初はうに?って思いながら食べたよ!
河和田散策

都会に比べて人が少ないぶん、地方には静かな自然が広がり、心を落ち着かせてくれる景観に出会えます。
人によっては「退屈」と映るかもしれませんが、私にとってはどこか懐かしく、温かさを感じさせてくれる風景です。
建物が低いため、空は大きく開けていて、その広さがそのまま心の余白をつくってくれるよう。
ただ歩いているだけで、気持ちまでゆるやかに解き放たれていくのを感じます。
先ほどの写真に写っている右手の建物は、木製デザイン雑貨のブランド「Hacoa」のショップです。
店内には木の温もりを生かした製品が並び、購入した商品には名前やイラスト、紋様などを刻印してもらうこともできます。
自分だけの一品を手にできる特別感があり、贈り物としても喜ばれること間違いなし。
木の香りに包まれた空間で、手仕事の魅力を身近に感じられる素敵なお店でした。

私自身もここで木製の栞を購入し、可愛らしいイラストを刻印していただきました。
刻印を待っている間は、店内に置かれていた木製のオセロで友人と対戦。
木の手触りが心地よく、ちょっとした時間も楽しいひとときになりました。
付属のパーツを外すとナンプレもできるらしいですよ。
付属品でマス目の多さを変えて別のゲームができる、面白いですね。
実は木製のキーボードとかマウスもあるんだよ
しかもワイヤレス

四角いオセロというのもなかなか愛嬌があるものですね。

こちらは「漆琳堂」さん。
店内には、思わず手に取りたくなるような可愛らしい色合いの漆器が並んでいて、伝統的でありながらポップな雰囲気がとても印象的です。
一部の製品は食洗機にも対応していて、普段使いしやすいのも嬉しいところ。
日常の食卓に漆器を取り入れると、いつもの時間が少し特別に感じられそうですね。
実際の商品は、ぜひオンラインショップからのぞいてみてください。きっとお気に入りが見つかるはずです。

漆の里会館の近くにある和菓子屋「福音堂」。
その店先でいただいたのは、お椀のかたちをしたモナカでした。
漆器の産地らしい意匠で、手のひらにのせると小さな器を眺めているよう。
可愛らしくて、口に運ぶのをためらってしまうほどでした。
しばらく眺めてたよね。
このお店には、私にとって特別な思い出があります。
学生時代、河和田アートキャンプに参加していた頃、地域の子どもたちと関わる活動をしていました。
その中でよく言葉を交わした子が、このお店のお子さんだったのです。
ふと、「あの子は今どうしているだろう」と思い立ち、店の方に尋ねてみました。
すると、当時は小さな少年だった彼が、立派に成長した姿で現れたのです。
年を経ても記憶は途切れていなかったようで、私のことを覚えていてくれただけでなく、かつて作りすぎて渡した私の作品の素体を「今も大切に持っている」と見せてくれました。
なくしてないし壊れてもないの凄すぎない?
人と人との縁は、思いがけず長い時間を超えて続いていく。
そういったことを実感した瞬間、胸の奥に温かなものが広がりました。
静かな夜、降りそそぐ星々

夜になると当時の仲間と宿を抜け出し、外の空気を吸いに出ました。
周りは暗く静かで、虫の声や木々のざわめきだけが響いています。
その中で見上げた星空は驚くほど澄んでいて、しばらく言葉もなく見入ってしまいました。
…すみませんやっぱりひとこと
満天やないか〜い!!!
やがて夜も更け、宿へ戻ろうとすると小さなアクシデント。
ドアが開かなかったのです。
仕方なく夜道をもう少し歩き、静かな集落の空気を感じながら待っていると、ようやく扉が開き宿に戻ることができました。
ほんのささいな出来事でしたが、星空と一緒にその夜を強く印象づけてくれて、まるで学生時代に戻ったような感覚がよみがえりました。

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